私の愛する鳥

愛しすぎているかもしれない。






夏~秋中旬まで、かなりきつい鬱でした。

親友にも会えない、家族にも会いたくない。なにか話そうとするとどもる。笑顔ができない。

漫画が書けない。イラストもかけない。描いていても『こんなもの』と思うばかりでちっともたのしくない。

肌が荒れる。化粧が乗らない。どんどんブスになるから外にも出たくない。

地獄かよ。って感じでした。地獄だったよ。


つらいことが立て続けにあったショックを癒すのに3ヶ月かかったと思えば、まあ納得かな。

いつまでこんな悠長な人生送れるのかわからないけど、ぎりぎりまで幸福を貪りたい。




*






そう、いまから、私の愛するホセ・キャリオカというディズニーキャラクターについて話がしたい。







三人の騎士という長編アニメは、子供の頃よくレンタルして観ていました。

子供心には怖かったのを覚えています。私より妹の方が気に入ってよく観ていました。





それから大体10年近く経って、震災のあと精神がズタボロになってひきこもり生活をしていたとき、

YOUTUBEで懐かしのディズ二ー短編めぐりをしていました。こんなのもあったな、っていう感じで。


そこで再会した三人の騎士の、アニメーションとしての色彩にまず驚きます。

こんなに素晴らしい色だったのか!見たことのない色ばかり!

可愛いパブロ。ガウチョもロバも可愛い。闘鶏のシーンに鳥肌が立ちました。





そして見進めていくうち、ホセ・キャリオカという登場キャラクターに度肝を抜かれました。

かわいい、セクシー、かっこいい、紳士、優しい、おおよそ全部兼ね備えた造形。

そして彼の楽しそうなダンス!音楽にあわせて踊る彼のなんと幸福そうなことか!

極彩色を引き連れて、原始の魂がうずく熱いサンバのメロディにのせて、彼は風に舞う大輪の花のように踊っていた。

不安や鬱で頭の中が真っ黒な闇だった私に、彼はカラフルなパレットを投げ入れてくれたような気がしました。


そしてなにより、彼を作り上げたのが自分と同じ人間であるということは、私に大変な勇気を与えました。

その創造力。可能性。これはすごいことだ、と震えて、ホコリをかぶった心臓が数年ぶりに跳ねました。







見終わったあと、貪るように彼の情報を集めたのを覚えています。

そのころは今のようにOLCもグッズを出しておらず、だいたいEbayなどで海外から個人輸入するしかありませんでした。

それにはお金が必要です。稼ぐしかありません。引きこもりは解消されました。

彼のファンアートも描きたいと思うようになりました。10年ぶりに画材を揃え、下手ながらネットに投稿しはじめました。

絵に対する情熱が湧き上がったのは彼のおかげなのです。






私は彼のように『幸福に人生を踊りたい』という気持ちだけで、自分にできる最善を考え続けています。

彼のように自由に歌い踊ること、彼のまとう極彩色のように鮮やかな人間になりたい。

彼に少しでも近づきたい。彼のようになりたい。

私の心は、ホセ・キャリオカによって生き返りました。彼のリズムに、色彩に、笑顔に、すべてによって。




記事の画像は、先日ご厚意でお譲り頂いた三人の騎士のスノードームです。

私というちっぽけな存在の、ちっぽけな人生でも、鮮やかに命を吹き返してくれた、かけがえのない作品です。

一生の宝物にしようと思っています。




ディズニーが提唱する魔法というものが現実にあるなら、

それはまさに私がホセによって人生に光を見出した、この現象がその内の一つだと思います。

人間がものを作るということ。それが他人に与える勇気や力。

時代を超えた天才たちによる芸術は永遠を呼びます。

私はその妥協のなさ、プロ精神、すべてに賛同します。







私はホセ・キャリオカを愛しています。